エッチング(手書きマスク編)


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フラットパッケージを使うようになってプリント基板の必要性を痛感したのでエッチングをしてみることにした。そこで、自宅でのエッチングでどこまで出来るのか以下の項目を実験した。なお、感光基板は使用しない方針。また、最小寸法については未実験。

1.)マスクに油性マジックが使用できるか
2.)マスクにビニルテープが使用できるか
3.)両面基板が作れるか
4.)スルーホールが出来るか


用意したもの

-腐食液
-生基板
-腐食液を入れる容器
-洗浄用の容器
-湯煎用の大き目の容器
-割り箸


なるべく低コストに押さえたかったのでエッチング液は美術用品の「腐食液」を使用した。これは銅版画を作る際に使用されるそうだが、中身はサンハヤトのエッチング液と同じ塩化第二鉄溶液なので問題ないと思われる。インターネット上でも腐食液を使用してプリント基板を製作されている方が多数いるようだ。
サンハヤトのエッチング液が200ccで\893なのに対して腐食液は500ccで\500程度だった。これまで何枚かエッチングしたが今のところ不満がないので今後も腐食液を使用することにする。


腐食液


以降私のエッチング手順。

エッチングする基板は0.8mm厚のFR4両面基板を使用した。当然だが感光剤は塗られていない。マスクを描く前に基板表面をきれいにしておく。本来なら脱脂をするべきだろうが、スチールウールで表面をゴシゴシするだけにとどめた。
その後、油性ペンで適当にパターンを描いてみた。
また、裏面にはビニルテープ(青)を貼り付けた。



エッチング液を容器に取り出し、人肌より少し暖かいお湯で湯煎する。画像では下の容器がお皿に見えるが、これは食品を扱う皿ではない。銅が溶けた腐食液は毒物なので食用との併用は確実に避けるべき。割り箸もエッチング専用のものを用意した。



エッチング液に基板を浸して、液が飛び散らない程度に割り箸で基板を動かす。ゆらゆらと動かす程度で十分。
こまめに銅箔の溶け具合をチェックする。5分程度で完了するが、液の温度が高いともっと早く完了することもあるようだ。また、何度もエッチングすると溶けにくくなるので、その時は新しいエッチング液を継ぎ足す。
パターンがしっかりとエッチングされたら、基板を取り出して洗浄する。洗浄用の容器に水(水道水で良い)を張り、基板を泳がせる。蛇口から水を垂れ流しにして約10分間放置する。



洗浄が終わったら水気をしっかりと拭き取る。出来ればベンコット、もしくはキムワイプ等のホコリが出ないもので拭き取りたいが私はティッシュで代用。普段使用しているタオル等は使用しない。その後、スチールウールで油性ペンのインクを取り除く。
写真は左がエッチング後。中がインクを取り除いたもの。右は裏面のビニルテープを剥いだもの。



ほぼ期待通りの仕上がりになっている。油性ペンでマスクを描くことは可能だと言える。回路パターン全てを油性ペンで描くことは無いと思うが、パターン転写のミスなどの修正には十分使える。
裏面のテープについては、写真では上部が少し変色しているがこれはエッチング前から付いていたものである(生基板の入手先が特殊なのでご愛嬌)。それ以外では全く問題がないので、ビニルテープもマスクとして使用可能である。ただし、少々肉厚の為、広い面をカバーする場合は隙間が出来ないようにぴったりと張り合わせないとエッチング液が浸透して溶けることがあるので注意が必要。


以上がエッチングの手順。この基板に簡単に部品を実装してみたのが下の写真。汚いのはご愛嬌。単純にLEDと抵抗を付けただけです。スルーホールが出来るかどうか試したかったため穴を開けてみたが、どう頑張ってもスルーホールは出来なかった。どうしてもスルーホール(穴が開いているもの)を作りたい場合はサンハヤトからスルーホール作製キットが出ているのでそれを使用することにする。とはいっても穴を開けて両面から半田付けしてやれば導通するので、今のところはそれで十分である。




◆ ◆◆◆ ◆


別の基板を使って両面基板が出来るかどうかも実験した。マスクを描いた状態が下の写真。裏表に同時にマスクを描いた。左の写真の基板上部にうっすらと波線があるが、鉛筆もマスクになるか気になって描いておいた。結果から言うと鉛筆はマスクにはならなかった。



エッチングしてインクごしごしして穴あけしたのが下の写真。穴はφ0.5。
抵抗などの部品の脚を穴に差し込んで両面から半田付けした(写真準備中)。



結果、無事導通。当然といえば当然なのだが、これで両面基板の作製も可能だと分かった。


◆ ◆◆◆ ◆


以上から、

1.)マスクに油性マジックが使用できるか
  ⇒使用可能

2.)マスクにビニルテープが使用できるか
  ⇒使用可能

3.)両面基板が作れるか
  ⇒作製可能

4.)スルーホールが出来るか
  ⇒穴の開いたスルーホールは現在不可能。
   ただし、両面から半田付けすることで表裏の導通は可能。

という結果になった。




2009/07/25

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